全国を熱狂させる高校野球

2026年8月17日

111年の歴史と「変わる甲子園」

今年も甲子園が熱い。

2026年8月5日に開幕した、第108回全国高等学校野球選手権大会。

勝てば次へ。負ければ、その瞬間に夏が終わる。

プロ野球ともWBCとも違う、高校野球独特の緊張感があります。

テレビで何となく見始めたはずが、いつの間にか地元代表を応援している。

そんな人も少なくないのではないでしょうか。

今回は少し趣向を変えて、この「夏の甲子園」の歴史を振り返ってみます。

調べていくと、戦争による中断、甲子園の土、猛暑、クーリングタイム、そして7イニング制。

高校野球もまた、時代とともに変わり続けてきたことが分かります。

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■ 1915年、わずか10校から始まった

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夏の高校野球の歴史は1915(大正4)年に始まります。

当時は「全国中等学校優勝野球大会」という名称でした。

第1回大会の会場は甲子園ではありません。

大阪の豊中球場です。

出場したのは10校。

甲子園球場が完成したのは、それから9年後の1924年。

そして学制改革を経て、1948年から現在の「全国高等学校野球選手権大会」という名称になります。

2026年夏は第108回大会です。

ここで、ちょっと引っ掛かります。

1915年に始まったのなら、今年で111年。

それなのに、なぜ「第108回」なのでしょうか。

【出典】

日本高等学校野球連盟「大会小史」

日本高等学校野球連盟「全国高等学校野球選手権大会」

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■ 戦争によって消えた「夏」

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理由の一つが、戦争です。

1941(昭和16)年、第27回大会は地方大会の途中で中止となりました。

さらに1942年から1945年までは、大会そのものが中断します。

甲子園球場も戦争と無縁ではありませんでした。

球場の屋根は金属供出によって取り壊されます。

野球ができなかっただけではない。

球場そのものまで、戦争に巻き込まれていたのです。

終戦翌年の1946年、大会はようやく復活します。

しかし会場は甲子園ではなく、阪急西宮球場でした。

そして1947年。

7年ぶりに大会が甲子園へ戻ってきます。

高校野球の歴史をたどってみると、それはそのまま日本の近現代史の一部でもあることが分かります。

【出典】

日本高等学校野球連盟「大会小史」

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■ 「甲子園の土」は誰が最初に持ち帰ったのか

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敗れた球児がグラウンドにしゃがみ、土を集める。

今では甲子園を象徴する光景の一つです。

では、あの習慣は誰から始まったのでしょうか。

実は、はっきりしていません。

阪神甲子園球場の公式サイトでは、1937年夏、第23回大会に出場した熊本工業の川上哲治氏が、甲子園の土を最初に持ち帰った人だという「説」が紹介されています。

あくまで「説」です。

ですから、「川上氏が最初だった」と断定することはできません。

ただ、最後の夏が終わった選手にとって、その土が単なる黒土や砂ではないことは想像できます。

何年も練習して、ようやく立った場所。

負ければ、高校球児として同じ舞台に戻ることはない。

だから、土を持って帰る。

合理性だけでは説明できないものがあります。

だからこそ、甲子園を象徴する光景として長く残ってきたのかもしれません。

【出典】

阪神甲子園球場「甲子園球場の黒土について」

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■ 猛暑で「甲子園の常識」が変わり始めた

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一方、100年以上続く高校野球も、昔のままでは続けられなくなっています。

その一つが「暑さ」です。

現在の夏の甲子園では、5回終了後にクーリングタイムが設けられています。

導入されたのは2023年の第105回大会。

当初は10分間でしたが、2025年の第107回大会から8分間となりました。

選手はベンチ裏の冷房が効いたスペースへ移動し、体温の確認、着替え、手のひらや首などの冷却、アイススラリーやスポーツドリンクなどの摂取を行います。

さらに、試合を行う時間帯にも変化が出ています。

かつての、

「真夏の甲子園で、朝から夕方まで試合をする」

という当たり前だった風景そのものが変わり始めています。

伝統を守る。

もちろん大切です。

でも、環境そのものが変わっているのなら、「守り方」を変えなければ続けられない。

高校野球はいま、その問題に直面しています。

【出典】

日本高等学校野球連盟「全国高校野球選手権大会の主な暑さ・健康対策」

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■ 「9回まで」を変えるのか――7イニング制

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そして現在、高校野球ではさらに大きな議論が進んでいます。

7イニング制です。

日本高野連は2024年度にワーキンググループを設置。

2025年には「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」を設け、1月から11月まで計10回にわたって議論しました。

背景にあるのは、熱中症だけではありません。

選手の障害予防、教職員の働き方、気候変動、部員数の減少など、高校野球を取り巻く様々な課題があります。

では、7回にすると、どの程度変わるのでしょうか。

日本高野連の検討会議は過去の全国大会データから、9イニング制から7イニング制へ変更すると、

試合時間:約2時間 → 約1時間30分

投球数:約130球 → 約100球

になると予測しています。

つまり、およそ30分、30球。

さらに、7イニング制で実施した国民スポーツ大会でも、この予測に沿う結果が得られたとしています。

この「30分、30球」を大きいと見るか、小さいと見るか。

意見が分かれるところでしょう。

当然、懸念もあります。

イニングが減れば、投手起用も変わる。

代打や継投など、終盤の試合運びも変わります。

部員の出場機会が減る可能性も指摘されています。

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■ 2028年春――具体的な時期まで示された

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そして、この議論は単なる「将来の検討」にとどまっていません。

検討会議は最終報告で、全ての公式戦について、現在の中学3年生が高校3年生となる2028年の選抜大会および各都道府県の春季大会から7イニング制を採用することが望ましいとの考えを示しました。

さらに、夏の全国高校野球選手権については、地方大会を含め、酷暑対策として**「可及的速やかに」7イニング制を採用することが望まれる**としています。

ただし、ここは重要です。

正式決定ではありません。

2026年8月現在、夏の全国高校野球選手権は従来通り9イニング制です。

検討会議の報告を受け、日本高野連の理事会で導入の是非について議論する段階です。

伝統を守るのか。

安全を優先するのか。

おそらく、そんな単純な二者択一ではないのでしょう。

「守るために、何を変えるのか」。

高校野球はいま、その境目に立っているように思います。

【出典】

日本高等学校野球連盟「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議の結果報告」

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■ 調査会社から、ひとつ提案です

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7イニング制について日本高野連の資料を読んでいて、調査会社として気になった部分があります。

検討会議では、熱中症などについて、重大事故が起きてからではなく、危険を予測できる段階で対策を議論する必要性が示されています。

これは企業の不正対策にも、かなり通じる話だと思います。

会社の問題というと、

横領が発覚した。

情報が外部へ漏れた。

社員が競合会社へ顧客情報を持っていった。

取引先との癒着が表面化した。

こうなって初めて「調査しよう」と考えがちです。

でも、その時にはすでに被害が出ています。

実際には、その前に小さな兆候が出ていることがあります。

特定の取引先への発注が、なぜか増えている。

退職予定者が、普段は触らないデータへ頻繁にアクセスしている。

経費の使い方に少し違和感がある。

競合会社が、自社しか知らないはずの情報を知っている。

一つひとつを見れば、まだ「不正」とは言えません。

だからこそ、その段階で一度、事実を確認してみる。

私たち調査会社から企業経営者の皆様へ提案したいのは、

「問題が起きてから調べる」のではなく、「違和感があるうちに調べる」という考え方です。

何もなければ、それでいい。

むしろ、それが一番いい結果です。

調べた結果、不正の事実が確認されなかった。

疑いを持たれていた社員に問題がなかった。

取引先との関係にも不自然な点がなかった。

これも立派な調査結果です。

高校野球が、環境の変化や選手へのリスクを見ながらルールそのものを検討しているように、企業も大きな問題になる前に小さな兆候を確認する。

必要なら対策する。

何もなければ、通常の業務に戻る。

調査会社は、問題が起きた時だけに呼ばれる存在ではありません。

「問題が起きていないことを確認するため」に使うこともできる。

そんな調査会社の使い方も、もう少し知っていただければと思っています。

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■ 企業内の「何となくおかしい」を放置していませんか?

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情報漏えい、横領、競業避止義務違反、従業員による不正、取引先との不透明な関係。

「怪しいけれど、まだ証拠はない」

「社内で調べるべきか、まだ迷っている」

そんな段階からご相談いただけます。

不正があると決めつけるのではなく、まず事実を確認する。

何もなければ、それが一番です。